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vol3.CB-Fのフレームは弱いのか? ~2.トレールの持つ意味

column_vol.03 CB-Fのフレームは弱いのか? ~2.トレールの持つ意味


1995年頃からCB1000SF(以下BIG1)でのレース参戦を行い、車体つくりのとても良い経験をさせてもらった。
1年にわずか数戦に向けて、通常業務をおろそかには出来ないので、お客様の仕事をした上で、レーサーの制作、運転テスト、参戦を繰り返した。
かなりハードだったと今でも記憶している。
エンジンの改造にも、テキストやメーカーからの資料は無いので、マフラーの設定はじめ、
吸気、電装にも苦労はしたが、改造で一番の問題はタイヤサイズの変更だった。
BIG1純正18インチには残念ながらレーシングタイヤは無かった。
ここで考えていただきたい。
BIG1は鉄フレーム、そして18インチ。
そこに究極のハイグリップ=レーシングスリックを履かせ、インチダウンする。
これは、一般公道でも旧車の足回りの改造内容に直結する。
タイヤのグリップでフレームが負けて、アクセルは開けられないし、フレームがよじれる・・・という結果が予想された。
だがどうだろう、最後にはその症状は微塵も出なかった。
もちろん、それを証明するためのテスト期間は確かに長かった。
理論とは机上の空論・・・いくら優れた文章でも経験には勝てない。
CB乗りの皆さんに伝える為に、実際の走行で足回りの変更に関して次の2つを証明したかった。
結果を残さないと信憑性は無いけど・・・。
証明したかった内容は、
●インチダウンする時はフロントフォークのオフセットを変更し、直進安定性とコーナリング性能を得る。
●鉄フレームであることが、車体が不安定の原因ではないこと。
まずは、バイクがなぜ真っ直ぐ走るかを考えると、その根源はトレールにある。
身近に、キャスター付きで移動可能なものがある(イス、台車、移動式棚など)。
それを押すと、車輪は押した方向と反対に向きを変える。
向きを別の方向に変えて押すと、車輪も向きを変えてそれに続く。
車輪は横向きには進まない。
意外と身の周りに起きている現象だ。
バイクのフォークを含めたステムにもこれと同じ現象が現れている。
注:キャスター(ステアリング)を支える軸より車輪(タイヤ)接点が後ろにあるので
車輪は後ろに引かれ、安定しようとする仕組み

注:台車の下のキャスターと、フォークの仕組みを照らし合わせて欲しい。
   引っ張られる・・・という意味を理解いただけただろうか。
trail・・・原訳には 「後ろを走る・追跡する」などの意味がある。


上図に示すのが、キャスターとトレールの関係で、この数値が小さくなればなるほど直進安定性が失われていく。
もし、この数値が0になると、車輪はどちらに向くかわからなくなる。
では、ついでにマイナスになるとどうだろう?車輪は反対に向こうとする。
バイクのフロントホイールが反対に向くのを想像できるだろうか?

注:この車輪はどちらへ向くのか?
トレールは数値が大きいほど安定する。小さくなるほど不安定。マイナスになると・・・。

vol.02で、同じフォーク角、同じフォークオフセットでタイヤのインチダウンを行うと、トレール量が減ることを図解したが、インチダウンは単純にトレールの減少による不安定さがハンドルが振られる原因と言える。この原理をわかっていただけただろうか。
ノーマルステムにインチダウンしたホイールを装着した車体だと、直線はあまり感じないがコーナーでハンドルが左右に大きく振られるのは、この症状がより悪化したものだ。
パンクするとタイヤの設置部分はよりタイヤサイドに移動するという事は、タイヤがよりインチダウンしたのと同じで、トレール量はどんどん減少する。
ステアリングの向きに追従せずに、不安定になってしまう。。


注)・本コーナーに記載されていることは、決して第三者への忠告や誹謗中傷には該当しないことを明記します。
   ・ドキュメント形式の文面では、当事者の了解を得ています。
   ・本文は、基本整備が十分に出来ている車体を対象としたコメントです。

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