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vol8.アフターマーケットパーツの持つ意味

column_vol.08 アフターマーケットパーツの持つ意味


私は、アフターマーケットの製造販売を行っているうちの一人で、純正バイクに装着出来て、多くのライダーに認めてもらえる、優れたパーツを作り続けたいと常に思っているし、実行し続けたいと願っている。

前回国内メーカーは世界最高水準のバイクを、低価格で提供してくれている偉大さについて書いた。とても偉大な仕事をし、バイクの歴史を作っている。最新技術の開発など、雲の上の存在なのだ。しかし純正部品はどれもみな最高水準ではなく、使用できる範囲で低コストに徹底している部品もあることを知ってほしい。

コストダウンと性能アップが両立しない側面があるという事だ。計量化=部品の省略=性能向上と良いつながりがあることは説明した。語弊はあるが、コスト面で、どうしても品質を落とさないといけないところはたくさんある。あるいは使用に問題なければ加工、部品は最小限に抑えた純正部品もたくさんある。


例えばステッププレート始め車体各部に見られるアルミ鋳造品。部品の単価は安く仕上がる。アフターパーツメーカーが一般に使う製造方法である切削加工は、鋳造に比べ材料費も高く、製造時間が長いため、価格は必然的に高くなる。
性能面ではアルミインゴットからNCで削り出す部品の方が品質も高く、割れにくいし、強度、耐久性など数段性能が良い。


今度はペダルについてだが、アフターマーケットのステップの軸受けにはボールベアリングが使われているのも増えてきた(高級なステンレス製ベアリングも使っている事もある)。
メーカー純正はドライベメタルを使っている。
理由はコスト面であり、ボールベアリングに対しドライメタルは格段に安い。単価で比較すると10分の1もいかないはずだ。

では、作動性はどうかというと、比較しようがないほどボールベアリングは優れている。操作の妨げになる“ガタ”も皆無である。
純正は、給油も頻繁に行う必要があるし、使用回数が増えると摩耗が一段と進み作動のガタが一気に増える。使い続けているからその変化に気がつかないのであって、新品ペダルと中古ペダル、パーツメーカーのステップそれぞれを比べていただくとその違いがわかるだろう。

乗車姿勢も、メーカーが形式指定のために国土交通省へ届け出たもので、例えばステップは、誰にとってもそれが正しい位置にあるのではない。
量産車である以上、メーカーが考慮してより多くのライダーに合った位置を狙ったもので、認可を受けるにあたり、足をついたときにステップに足が当たってはならないなど、メーカーとしての決まり事はたくさんある。


アフターパーツメーカーの出すステップはそういった制約に縛られず(もちろん安全面は確保されているはず)、各オーナーの好みにあったポジションに合わせられる自由度や、ベアリングの軸受けも含め高い性能を持つ。


メーカー純正についていない部品だから必要ないのではないか?と言われることもある。
「追加することでより快適に操作できるパーツを作っている」それが答えなのだ。

メーカー出荷時が完ぺきではない。
語弊はあるが、動けばいいという部品と、最高に動く部品の違いなのだ。
それがアフターマーケットメーカーの仕事で、レースフィールドで開発された集合管や、ブレーキキャリパー、デジタルメーター、など、過去にもそのパーツがやがて純正にも採用されたという前例はたくさんある。
身近なことでは、CB-Fのスプロケットカバーである。
純正のままでは、変速時にシフトシャフトは優に1mmはしなっている。新車のころはさほど問題では無かったかもしれないが、シャフト、軸受けの摩耗や材料の劣化によるしなりで、ギア抜けなどの、シフト操作が不安定になる大きな要素になっている。純正カバーはチェーンオイルの飛散防止と騒音防止の機能はあるが、軸受けの機能はない。今のバイクだと、最初から対策しているので、あれほど長いシフトシャフトはまず作らない。

作動をよりよくするために、ベアリングを使い、プレートの固定もしっかりと行い、シフトペダルの軸を支える機能も持つ。アフターマーケットパーツとしてエンジンを守ることに貢献していると自負する。


他にも純正では取り付けられていないパーツを多くのパーツメーカーが製造販売している。
代表的なもので、最近では純正装備も増えたが、デジタルテンプメーターがその代表だと思う。

エンジンのコンディションを見るのは、冷却水やエンジンオイルの温度は重要で、高すぎても低すぎても良くない。メーターを通してライダーはいち早く確認し、その対策を行うことが出きる。バイクのコンディションを伝えてくれる。(ブルドン管式は反応が遅いから嫌だ、トラブルが進行している頃に初期症状を伝える遅さ)
充電電圧も表示しているメーターも装備されていて、電気系の弱い旧車には強く勧めている。
アフターマーケットパーツの存在意義を是非確認してほしいと思う。

旧車は現行車に追いつけるか?

「私はCB750Fの悪いところや、改善点はすべてわかる」 と言ったらどうだろう?


なにか非常にうぬぼれたコメントのように聞こえるかもしれないが、自信を持って言えることなのだ。

理由は簡単で、次々に発表される新型バイクが高性能にするには・・・というお手本を見せてくれている。ではCB-Fにはに何が足らないか、どうすれば良い性能になるか比較すれば簡単なのだ。


だがもちろん、フレームがアルミではなくスチール、冷却は空冷など変更できないところもあるが、それまで変えるとCBがCBでなくなってしまう。

個人的にはビキニカウルもあまり好きではない、ましてやフルカウルにして性能向上したとしても納得いかないのは好きなバイクへのこだわり故、だと思う。


CB-Fがデビューして30年近く経とうとしている。直4だけを追ってみてもCB-Fの後に、CBX750Fがデビューし軽く、さらに高回転まで延びるエンジン。

エンジン幅が、背面ジェネレーターになって狭くなりバンク角が増えたのはもちろんだし転倒時の損傷が減る。マニュアルのCB-Fに対し、オートとなったカムチェーンテンショナーはカムチェーンのトラブルを相当防いでいる。


このあとエンジンは水冷化し、CBR750エアロがデビューして渋滞路でも熱だれの影響が減った80年後半から90年にかけて、キャブと点火系が大幅に進化したと思う。


それまでのキャブは、ほんのわずかでも二次エアが混入すると途端に調子を落としまともに走れるものではなくなったし、今でもCB-Fのキャブをパワーフィルターに変更するとセッティングが難しいのがわかる。世間では、パイロットジェットや、メインジェットの変更でセットアップが出来たと思われているが、ボックス無しの解放だと吸気側の負圧が不足し吸気量に対して中間域の空燃が成り立たないので、スローエアジェットのブラインド加工が必要になる。順応性が高いとはお世辞にも言えない。


90年代のキャブの性能にはとても追いつかない。ボックス無しにして、メインジェットはもちろん変更しないといけないが、空気量の変化に応じてキャブが勝手に調整してくれる、だからそのキャブを取り付けると、思いのほか簡単に高性能を発揮するしキャブのデザインはさすがにバブル全盛期だけあって、非常に贅沢なつくりであるしその後から現在に至るまで、インジェクション化しているのでもうあの頃のキャブが再び現れる事は無いと思う。 
400ccエンジンで驚いたことがあるが、CB400SFのエンジンチューンでキャブと点火系の変更で後輪出力70PSオーバーしていた。
レースレギュレーションでエンジン内部の変更は禁止されていたので80年代にHRCのF3レーサーでさえ困難な出力を出している。

キャブメーカー関連の方に聞いたところ、出力アップはキャブと点火系の進化が大きく提供しているとのコメントをいただいた覚えがある。


注)・本コーナーに記載されていることは、決して第三者への忠告や誹謗中傷には該当しないことを明記します。
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